問診票(IPAG)
IPAGとは
ぜん息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)およびアレルギー性鼻炎などの慢性気道疾患は、世界中で罹病率および死亡率の高い疾患であり、依然として増加傾向にあるため、これらの疾患の管理を普及させ、その質を向上させることがきわめて重要です。多くの国でほとんどの慢性気道疾患患者の治療にあたるのはプライマリケア医ですが、エビデンスに基づく国際的ガイドラインは専門的で難しく、一般のプライマリケア施設で利用できない診断・治療手法の使用を推奨しています。
そこで、プライマリケア医にも診断できるように企画されたのがIPAGガイドラインです。世界一般医・家庭医学会(WONCA: World Organization of National Colleges, Academies and Academic Associations of General Practitioners/Family Physicians)が中心となり、プライマリケア医と呼吸器専門医でIPAG(International Primary Care Airways Group)が組織されました。
IPAGは、GOLD ( http://goldcopd.org/ )、GINA ( http://ginasthma.org/ )、ARIA ( http://www.whiar.org )のガイドラインに基づいて、プライマリケア施設で実践できる実用的診断法と治療法を選択し、慢性気道疾患患者への最良なケアの提供を助ける「IPAG診断・治療ハンドブック」を作成しました。
40歳以上で喫煙歴がある成人には、COPDの可能性を考慮することが望まれます。IPAGの作成した「COPD質問票」はCOPDの簡易スクリーニングに有用な問診票ですので、ぜひご活用ください。このページ下からダウンロードできます。また、ぜん息との鑑別を要する場合は、「鑑別診断質問票」を用いて、COPDまたはぜん息のどちらの可能性が高いかを診断できます。
COPD質問票
呼吸器症状があり、以下に当てはまる者はCOPDの可能性を考慮して、COPDの可能性が高いかどうかを判断する必要があります。
- 咳嗽、喘鳴、息切れ(呼吸困難)、胸部絞扼感、水様性鼻汁および/または鼻掻痒感の症状のある人
- 喫煙の経験がある人(職場での塵埃および化学物質、または家庭での調理および暖房燃料による煙への曝露もCOPDを引き起こす)
- 40歳以上の成人
- 呼吸器疾患の診断歴がないか、現在定期的に呼吸器疾患の治療を受けていない人
*本質問票に含まれる質問は十分に検討された論文で診断的価値がもっとも高いとされているCOPDの症状および危険因子に基づくものです。確定診断を得るためのものではありませんが、COPDの診断をさらに検討すべきか、それともその可能性は低いかを判断することができます。
評価: 患者の回答から総ポイント数を求める。
17ポイント以上 | COPDの可能性が考えられます。スパイロ検査(気管支拡張薬吸入後の1秒率測定を含む)や身体診察などによってCOPDの診断を確定する必要があります。 |
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16ポイント以下 | COPDの可能性は低いと考えられます。ぜん息など別の診断を検討する必要があります。 |
IPAG COPD質問票ダウンロード (PDFファイル)